スイスの街角から

スイス在住 21 年目。 チューリッヒ湖のほとりに、イギリス人の夫と住んでいます。 カルチャーショックでいっぱい!実は意外だったスイスの姿と 海外生活の様子、国際結婚のお話し、 スイスの美しい景色と人々の生活風景、季節の情報など、 写真いっぱいのブログを湖畔の街よりお届けします。

Notfall

スイスの365日の生活について綴ったエッセイ、「スイスの素朴なのに優雅な暮らし365日」が、自由国民社より2024年3月に発売されました。紙書籍とあわせまして、電子書籍も発売中です。


年末年始の救急外来受診 (続き)


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本日は以前のブログ記事、

年末年始に駆け込んだ

救急外来のお話の続きです。

体の方はもうすっかり回復していますので、

私自身の覚え書きと記録程度に、

年末の出来事と、

私がかかったスイスの救急外来

(Notfall =スイス ドイツ語圏での呼び名)

について綴ってみます。

長文ですので、

ご興味がおありの方のみ、

この先にお進みください。



年越しのための家の仕事で忙しかった

12 月 29 日の深夜に突然目が覚め、

今まで体験したことのない

体の一部の異変と痛みを感じました。

みるみるうちに激痛が襲い、

その痛みが尋常ではなく、

冷や汗のような汗がダラダラと吹き出て、

どんどん体がほてっていくのを感じました。

夫 Banana を起こさぬようベッドを出て、

水分を摂って、

リビングのソファでしばらく休んでいると

少し楽になり、

その日はベッドに戻って眠ることができました。


翌朝起きてみると、

痛みと違和感も消えていたので、

昨夜のあれは何だったのだろう?

とは思ったものの、

年末だということもあって、

心のどこかで前夜のプチパニックを

忘れようと思っていた自分がいました。

Banana には、

その夜の出来事は伝えませんでした。


30 日は、

年始を迎えるための家の仕事で

忙しくなる予定で、

いつものように元気に、

お正月の準備をしていた時、

あの激痛と、

この場では記しませんが、

ある体の異常がまたやってきました。


パニックに陥らないよう努めて、

夫 Banana に前夜からの

体調異変をその時初めて説明しました。

そして、

前夜のこともあったので、

救急外来に連れて行って欲しいことを

伝えました。


救急外来のある病院は限られていますが、

幸い自宅から遠くない場所にもそれがあり、

車で向かいました。

救急車を呼ぶほどの状態では

なかったこともありますが、

早さの面でも、

自宅からだと救急車を呼ぶよりも、

マイカーで向かった方が

おそらく早い距離でした。


ちなみに、

スイスでは救急車を呼ぶのは有料で、

自治体によって金額は前後するものの、

1 回のコールで、

だいたい10万円以上するのが相場らしく、

事故や重篤な病状の事態でない限り、

ほとんどの患者さんは

自身で救急外来に出向くことが多いようです。


年末で一般のクリニックが

閉まっていることもあり、

待合室の椅子はほぼ埋まり、

とても混み合っていました。


幸い我が家は加入している保険のタイプが、

"ハルプ・プリバート"

(ハーフ・プライベート)

だということもあって、

先に待っている患者さんを

スキップしていただける状態で、

10 分ほどで順番が回ってきて、

個室タイプの治療室に通されました。


保険のこと、

加入している保険のタイプで

救急外来の待ち時間にまで影響するなんて、

実はこの日の出来事の

数ヶ月前まで知らなかったことでした。

スイスの健康保険の種類、

ハルプ・プリバート

(スイス ドイツ語圏での呼び方)

についてはまた後日、触れてみます。


この日は色々な検査をしていただきましたが、

さらに検査の必要ありとなってしまい、

一旦帰宅して、

翌日 31 日の朝に再来院が必要でした。


救急外来ですので、

最初に受診した時は予約は無しの

飛び込み受診でしたが、

一度カルテができると、

症状次第で検査が必要となった場合は、

救急外来でも

予約ができることを知りました。

これはあくまでも、

私がかかった病院でのケースです。


翌日 午前 9 時に病院を予約。

同じ救急外来の受診です。

大晦日だということもあって、

病院は更に混み合っていましたが、

この日もほぼ待たずに

個室タイプの治療室へ。


この先は保険のタイプは関係なく、

容体の緊急度で治療が進みますので、

私の場合もそこからは待ち時間が長く、

結局その日も半日以上、

病院に缶詰状態でした。


結果的には大丈夫だったのですが、

その日の検査は

ちょっとキツイものもあって、

別の病棟まで移動式ベッドで運ばれて、

細かに検査を受けました。


CT スキャンや内視鏡の検査を受けながら、

今夜はもう、家には帰れないかも?

大晦日に入院の必要があるのかも??

と思ってしまうと、

この時点では

ポジティブな私にしては珍しく、

悲壮感が漂ってきました。


けれども、

おそらく先に出ていた検査結果や

私の状態から、

緊急性は無しと判断されていたようです。

別棟の検査から戻ると、

先ほどいた個室には他の患者さんが入り、

私は移動式ベッドに横たわったまま、

廊下の隅っこで

2 時間以上待機となりました。


同じ状態で廊下で

医師の説明を待つ患者さんが、

他にもいました。


廊下での待機中、

心配そうに付き添う夫 Banana

心配かけて、ごめんね…。

IMG_2547

2 時間ほどそのまま待ち、

私の元にもようやく

専門分野のチーフドクターが現れました。

結果からすると、

血液、尿、心電図、CTスキャン、

専門医の診察を含めて異常は見つからず、

内視鏡検査でも大きな問題がなかったことで、

はっきりとした診断がつかずという

結論でした。


2 日間に渡り検査をしている間に

症状がみるみる治ったことと、

内視鏡検査では

ほんの一部で炎症が認められたことで、

何らかの原因で、

突発的な異変が体内で起きていたのかも?

という医師の判断となりました。


「家に帰れますよ。」

と、医師に伝えられた時の

ホッとした気持ちは

言うまでもありません。

病院側もベッドが足りず、

重病ではない患者さんに

ベッドを提供することは

困るのかもしれません。

私の場合は家が近かったことと、

夫がいて一人ではないことも

あるかもしれないです。

一人暮らしだったとしたら、

一晩入院となったのかもしれません。


結局、その日も帰宅できたのが

夕刻になりました。

もう、おせちを作るどころではありません。


元旦にもう一度、

補足検査が必要ということになり、

お正月も朝 9 時にまた、

同じ救急外来を予約して

行ってきました。

その日は朝から体調もよく、

すっかり元通りで、

鏡を見ると血色もよくて食欲もあり、

自分が救急外来にいることが

場違いのようでした。


血液検査と心電図をチェックし、

幸いヘモグロビンの数値にも

問題なしということでした。

前日とは異なる別の医師から

もう一度説明がありました。

急に感じた体の痛みと体調異変は

理由がわからず、

突発性の炎症が体内で発生したのだろう

とういう最終診断で、

しばらくの間、

経過観察ということになりました。


自分の中で、あれは何だったのか?

という疑問は今でも拭えませんが、

結果的には自然治癒となり、

特に治療や薬の服用もせずに

治ったことになります。


このような結果になったことで、

「病院に連れて行って」と夫に伝えず、

我慢すればよかったのかな…

という気持ちが無くはなかったのですが、

訪れた救急外来の医療関係者のみなさんが

真剣に受け止めてくださった

体の症状であったことは確かですし、

Banana もあの日の状態だと、

救急外来を受診すべきだったと

言ってくれたので、

やはり受診してよかったのだろうと

思っています。

スイスの迅速で高度な医療水準を

体で感じた数日間でした。


今はもう、すっかり元気なのですが、

一度救急外来にかかってしまったので、

そのデータがかかりつけの

ホームドクター(ハウスアルツト)の元へ

送られます。

で、ちょうど昨日、

ホームドクターの秘書から連絡が入り、

経過観察の状況を診ていただくため、

(現状の話をするため)

今度はホームドクターとの

アポイントを取ることになりました。


自分の中では、

既に終わったことになっているのですが、

こればかりは仕方ありません。

もう、すっかり元気で、

「異常はありません」

と、お話ししてこようと思います。


最後に、

てきぱきと処置をしながら、

患者さんに決して不安を与えないよう、

笑顔で対応して下さった

医療スタッフのみなさまへ

感謝の気持ちでいっぱいです。

この思いは、

決して言葉では伝えきれません。

普段よりもさらに忙しく働かれる、

24 時間体制の救急医療の

ドクターや看護師さん達、

それに受付の係の方々には、

クリスマスもお正月も無いのだと、

本当に思い知らされました。


私がお世話になった病院では、

どのスタッフも

英語を話していただけたことも、

大変ありがたかったです。


日本でも訪れたことのない救急外来を、

外国で体験したことについては、

不安ではありましたが、

それがスイスの病院で本当に良かったと、

夫婦で感じています。

健康のありがたみを、

つくづくと思い知らされた年末年始でした。

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救急外来受診と静かなお正月

ブログネタ
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今年の元旦は、

青い空が広がった美しい 1 日でした。

クリスマスの後は、

ずっと真っ白な霧に包まれた

チューリッヒ湖岸の街でしたが、

朝焼けと共に、

久しぶりにアルプスも顔を出し、

遠くのアルプスの山に

ご来光のような朝日も見えて、

1 年の幕開けにふさわしい

清々しいお正月でした。

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冬の空気がとても澄んでいて、

昼間はルツェルン州の山、

リギ(左)とピラトゥス(右)も、

コンビで顔を出して絶景 !

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夕暮れ時のチューリッヒ湖畔も、

美しかった〜。

IMG_2772

さて、

前回のブログ記事にも綴っていたのですが、

実は私は、

年末から体調を崩していました。


風邪やインフルエンザ、

ウィルス性胃腸炎、コロナなど、

この季節特有の疾患とは異なる、

体調異変が突然生じました。


私は病院嫌いですので、

よほどのことがない限り、

お医者さんにはかかりません。

昨年ホームドクターを訪れたのも、

定期的な体調チェックの面談程度で、

クリニックに行ったのも

数年ぶりのことでした。


そんな私が夫 Banana に、

Notfall (=救急外来 )

へ連れて行って欲しいと申し出ました。

Notfall は緊急というドイツ語ですので、

呼び方はドイツ語圏での名称です。


かかりつけのホームドクターや

一般の病院は、

年末年始はお休みですので、

このような期間に病院を受診したい場合、

Notfall に行くことになります。


我ながら、今回はよほどのことで、

スイスに住んで 20 年以上で、

初めてでした。

それが 12 月 30 日の午後のこと。


3 日かけて検査を受けることになり、

元旦まで、

毎日自宅から救急外来通いを

余儀なくされました。

日本だったらこんな場合、

一旦入院して、

検査を受けるのかもしれませんね。

IMG_2541

血圧測定、血液と尿検査、心電図、

内視鏡カメラ、 CTスキャン、

複数の医師の診察を含め、

ありとあらゆる検査を受けました。


他にも救急外来には

多くの患者さんがいて、

私と比べると急を要するケースや、

緊急で運ばれてくる患者さんも

たくさんいますので、

一つ一つの検査と検査の間には、

時間がかかります。


一番時間がかかったのは、

検査結果の説明を

医師から聞くタイミングでした。

関係者のみなさんがそれはお忙しいので、

それは仕方ありません。


全ての検査の結果と数値が正常で、

元旦の朝、

最後の最後にもう一度チェックされた、

血液検査でのヘモグロビンの数値と

心電図にも異常がなかったため、

最終的には、

病院での治療はなしで、

自然治癒するのを待っての

経過観察という状態になりました。


そんなこんなで、

年末年始はおせちの準備どころではなく、

おせち料理とお正月ムードも全く無い、

静かな 2025 年のお正月を過ごしました。


おせちの準備にと、

日本で色々とお正月の準備に必要な

食材も買い込んできていましたので、

残念のひと言につきるのですが、

その反面、

体調は元旦には回復し、

お正月は心穏やかに迎えることが

できましたので、

少なくとも昨年の垢は

新年に持ち越さずにこられたのだと

思っています。


新年早々の話題が体調不良についてで

申し訳ありません。

少し時間をおいてまた後日、

今回の Notfall での体験にまつわるお話を

自分の記録用として、

綴ってみようと思います。

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数あるブログの中から、 私のブログへお立寄りくださりありがとうございます。 スイス・チューリッヒ州の湖畔の街で、 英国人の夫 "Banana(バナナ)"と共に暮らす "Apfel(アプフェル)"です。 ブログ「スイスの街角から」では、 美しいスイスの自然と風景、人々の暮らしの様子や旬の話題、 そして観光情報なども写真と共にお送り致します。 ちょっとヒミツの知られざるスイスの姿や、 海外生活でのカルチャーショックなどにつきましても 折に触れてお伝えして参りたいと思いますので、 しばしの間、おつきあい下さいませ。
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