「スイスの街角から」インスタグラムは こちらです★
前回のブログ記事からの続きです。
ちょっとしたカルチャーショックを感じてしまう、
知り合いのアメリカ人女性との関係。
先日、彼女が勤務する歯医者を訪れたのは、
実は約1年ぶりのことでした。
スイスでは、
(私の知るドイツ語圏の街では少なくとも)
歯のクリーニングの予約は、
訪れた際に半年後、1年後でも
次の予約をしておくのが普通です。
そんなずっと先の予約を忘れずに、
みんなしっかりクリニックを訪れるのも、
スイスらしいところだと感じています。
次の予約日は予定に書き込みますが、
私の通っている歯医者では
予約の前々日にショートメールで
再確認が入るので、
うっかり忘れてしまうこともありません。
さて、
今回のお話は昨年の12月にさかのぼります。
その日は半年前に次の予約をした
歯のクリーニングの日で、
アメリカ人歯科衛生士のCさんの元を
訪れる日でした。
午後1時の予約で、
私の住むチューリッヒ州の自宅から
チューリッヒ市内の歯医者までは、
公共交通を乗り換えて小一時間はかかるため、
お昼前に家を出る支度を整え、
まさに今から出発しようと思った矢先に、
携帯電話が鳴りました。
電話の相手はCさん。
今日、予約が入っているけれど、
知人にコロナを発症した人がいて、
Cさんもその濃厚接触者となってしまい、
私が予約していた時間に勤務ができないとのこと。
前々日にPCR検査を受けたのだそうです。
それ以来、検査結果が出るまで、
強制的に自宅待機で働くことができない
とのことでした。
予約1時間前にその連絡〜?
とは感じたものの、
そのことについては仕方ないと思いました。
昨年の冬なんて、
コロナのピークが続いている時期で、
正直なところ、私もあまり、
チューリッヒ市内まで出かけるのは気が進まなかった。
だけど、
半年前にした予約を直近でキャンセルするのは
相手に申し訳ない気もしたので、
気持ちを奮い立たせて、
出かける準備をしたのです。
家にいる時はノーメーク。
近所のスーパーに出かけるときは、
眉毛を描くくらい。
ほぼ、メークをする機会を失っていた私が、
久しぶりにチューリッヒまで出かけるため、
以前のようにきちんとメークもして、
見た目も気持ちの上でも、
出かける準備万端だったわけです。
なのに、ガックリ。
それにしても、
予約の1時間前の電話連絡って、
流石に遅くない!?
話を詳しく聞くと、
前々日のPCR検査の結果が、
その日のお昼前には出ると聞いていたので、
私の予約は
そのままにしてあったようです。
彼女の中では、
『自分は濃厚接触者ではあるけれど、
コロナに感染しているはずはない』
と信じていたようです。
もしも、私が彼女だったら、
『もしかしたら、陽性かもしれない』
と考えて行動する
(相手に前もっとその旨を伝える)
と思いますが、
こればかりは性格と感覚の違いでしょう。
お昼前に「陰性」の結果を受け取れば、
午後1時の私の予約は
そのままGoしようと思っていた
と言うののが、
彼女の言い分。
けれども、
私の側からすれば、
濃厚接触者として検査をしたのであれば、
陽性の結果だってあり得る。
だったら、なぜ前日か、
百歩譲って、
当日の朝一番で教えてくれたなかったのだろう?
と思ってしまう。
住まいがチューリッヒ市内ならばまだしも、
私が郊外に住んでいることを
彼女も知っているはずなのに。
と言う思いが募ってしまいます。
予約1時間前の電話の向こうの彼女は私に、
「もう、家を出た??」
と尋ねました。
私は、
「いえ、今ちょうど出ようとしていたところ」
と返事。
すると彼女は、
「よかった〜 まだ家を出ていなくて。」
と言って、
彼女の事情を話し始めました。
電話の会話の最後まで、
ドタキャンすることについて、
「ごめんなさいね」
の一言はありませんでした。
彼女の側からすれば、
濃厚接触者になったのは
もらい事故のようなもので、
本人の責任ではない。
数日仕事ができなくて、
困っているとも言っていました。
(大門未知子のようにフリーランスの立場にあるため、
仕事ができなければ、
直接自身の収入に影響してしまう)
それはもちろん、わかるのです。
コロナへ感染することは、
自分がどんなに気をつけていても、
誰にでもあり得ることだし、
濃厚接触者になったことは、
彼女の落ち度でないことは重々承知しています。
とは言え、私からすれば、
もう出かける準備もして、
電車のチケットも購入していたし、
ちっとも、
「良かった〜ではない。」
と言いたくなってしまったのがホンネ。
まあ、ここは日本じゃないのだし、
彼女と私の文化も違う
と、自分に言い聞かせるしかない。
それにコロナ禍の中、
クリニックの患者さんも減っていて、
その日、一人こなせるか、
減ってしまうかでは、
彼女にとっても大きなことで、
仕方がないな・・
と思い、
自分の感情は表に出さずに、
「結果が陰性であることを願っています」
とだけ伝えて諦めました。
その日、
出かける準備満々だった私は、
歯医者には行きませんでしたが、
購入していた電車のチケットの
払い戻し手続きも面倒だし、
クリスマス前の町を少しだけ歩こうと、
チューリッヒ市内へ出かけました。
結果、
クリスマスマーケットはもちろんどこも中止で、
町はクリスマスの前とは思えないほどに閑散。
ぶらりと町を歩いてみたものの、
がっかりした気持ちを隠せないまま、
1時間くらいですぐに帰宅しました。
そんな思い出もあり、
「また再予約します」と伝えて
Cさんとの電話を切ったものの、
なんとなく気乗りがせず、
その後、
スイスのコロナの状況も悪化したので、
ずっとそのままになっていました。
最後に歯のクリーニングをしてから、
もう1年近くも経過したので、
ようやく気持ちも切り替えて、
また彼女の歯医者まで
出向いたと言う経緯がありました。
一昨日、当日のCさんは、
案の定、彼女の方から12月にドタキャン
した事実は忘れているようでした。
私が長く姿を見せなかったことを
相手から指摘されたので、
上記の経緯をやんわりと伝えてみたところ、
彼女は、
「そうだった!
あの時は強制的に自己隔離させられていたので、
仕方なかったのよ〜」
との返事。
私も、
「ですね・・。」
とだけ答え、
もうその話題はそれでおしまい。
海外暮らしも長くなってきたので、
ここは日本では無いと言う意識が常にあり、
相手の謝罪とか、
全く期待しなくなりました。
頭の中では、
相手が悪いわけでは無いから仕方ない
と思ってはいても、
「そうそう、そうだった。
あの時は結果的に、
ドタキャンになってしまて、ごめんね。」
と、
ひとこと言ってもらえると、
こちらも、
「いえいえ、
お仕事が強制的にお休みしなくちゃならなくて、
大変でしたね」
とか、言葉をかけられるだろうし、
受け取る側の気持ちも全く違うのだけど。
こればかりは、
日本人の阿吽の呼吸を求めても、
無理なんですよね。(苦笑)
ふと、
彼女がスイス人だったらどうだっただろう??
と考えてみましたが、
例えそうだったとしても、
おそらく対応は、
あまり変わらなかっただろうと思います。
流石に予約1時間前と言うことはなくて、
せめて朝一番には連絡があったかも??
私はアメリカ人のCさんを
人間としては信頼しているし、
彼女の技術も信頼している。
なので、
今後もお付き合いは続くと思います。
この先も、
Cさんとの関係に限らず、
日本のようには
思うようにはいかないことも
多々あると思うので、
文化や習慣の違いを意識しつつ、
また同じようなことが起こり得るだろうと
覚悟しながら、
彼女のいる歯医者にも、
これからも通おうと思っています。
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・