今日(スイス時間10日)も暖かく、
良いお天気のチューリッヒ地方でした。
今週は気温も20℃近くまで上がる日もあり、
しばらくはお天気が続きそうなので、
湖畔の自宅近くの七部咲きのマグノリアも、
五部咲きの桜も、一気に満開となりそうです。
先週の週末も良いお天気でした。
土曜日は久しぶりにカーフェリーを利用して、
夫 Banana と共に、
チューリッヒ湖の対岸まで渡り、
散策をしました。
桜が満開!(2018年4月8日)
この日は車ごと乗船せず、
車はその街に駐車して、人間だけで乗船しました。
カーフェリーはあくまでも市民の足なので、
人のみ(+自転車も)でも利用ができます。
車ごとの乗船の場合は1階にステイ。
人だけで乗船する場合は2階に上がります。
2階デッキの屋内外にはベンチが設置されています。
このカーフェリーはチューリッヒ湖を
周遊するタイプのものではなく、
単にチューリッヒ湖の対岸と対岸の街を
直線に結ぶフェリーです。
対岸まで片道約15分程。
通常はほぼ直線で対岸まで渡ります。
しかしこの日は異なっていました。
乗船したそのフェリーで思わぬ出来事が起きました。
フェリーがまっすぐに動き出したところまでは
いつも通り。
けれども、湖の真ん中手前くらいまで行ったところで、
船は突然Uターン。
と、同時に、
「Notfall !(緊急事態)」
と船内にアナウンスが響き渡りました。
Uターンしたフェリーはそのまま斜めに進みます。
視線の先には、
人の乗っていないカヤックのボートが
湖上に浮いていました。
フェリーの上から様子を眺めていた人達みんなが
不安そうな表情です。
無人のカヤックが湖の真ん中に浮いているという事は、
それに乗っていた人が
溺れているのではないかという懸念からです。
2階席の屋外に座っていた私達も、
とても心配になりました。
すると、
小さなお子様(女の子)連れで、
すぐ横に座っていた30代くらいの女性が、
私達夫婦に、
「ドイツ語は話せますか?」
と、話しかけてきました。
Banana が、"ほんの少しだけ" と答えると、
女性は言語を英語にスイッチしてくれ、
「私はナースなので、もしも緊急の場合には、
救助のヘルプで下へゆかねばなりません。
その場合、この子を見ていていただけますか?」
と問いかけてきました。
「もちろん! 」
と答えた私達。
その後、一瞬のうちに、
フェリーは反対側の斜めに向かって進み始めました。
湖上に浮いている人を見つけたのです。
カヤックからは、
かなり離れた場所に浮いていました。
船は近づいて行って、
クルーが、
「大丈夫か??」
と大声で声をかけました。
湖に浮いている人は、救命着を身につけており、
プカプカと浮いていましたが、
"大丈夫だ" と答えたようでした。
それを確認し、船は方向を変え、
最初の目的地へ進もうとしたのですが、
少し進んだところで、
今度はものすごい大きな声で、
「Hilfe !!(助けてくれ〜)」
という声が湖上に響き渡りました。
「大変、HIlfe(ヒルフェ) って言ってる!
溺れているんじゃない!?
早く助けてあげなくちゃ!!」
と Banana に話しかけたところで、
今度は対岸方向からものすごい速さで
小型ボートが溺れている人の方へやってきました。
緊急事態とアナウンスをした時点で、
船長が無線か何かで救助要請をしていたのでしょう。
ボートは轟音を立てて
あっという間に湖上に浮かんでいる人の元へたどり着き、
事なきを得たようでした。
この日は今年に入って一番暖かい春の週末でした。
湖には、おそらく今年初となるであろう、
カヤックやカヌーに乗って、
湖に出ている人々を目にしました。
湖上にいた人が
油断をしていたとは決して言い切れませんが、
一冬越して、久しぶりの湖のアクティビティに
体が鈍っていたのかもしれないし、
湖に出る準備が、
まだ万端では無かったのかもしれません。
いずれにしても、
最悪の事態にならずに本当に良かったと、
Banana と共に胸を撫で下ろしました。
その状況を見届けて、
フェリーはまた元の方向へと航行して、
対岸へとたどり着きました。
片道15分ほどの航行で、
あっという間の出来事でした。
それにしても、
無人のカヤックを見つけてすぐに緊急対応した
フェリーの船長や、
ナースだから、
助けが必要ならば、行かなければならない。
小さな娘さんを見ていて欲しいと、
話しかけてきた看護師の女性。
迅速な対応とプロ意識に、
強い感銘を受けた私達夫婦です。
先日の日本のテレビで目にした、
倒れた市長の救護のため、
いち早く土俵に上がって救命措置を施した、
女性医師と看護師さんのニュースが
頭をよぎりました。
私達に話しかけた看護師さんは、
溺れている人が無事である事を確認すると、
元どおりの優しいママの顔に戻って、
小さな娘さんと話していました。
まさかあんな場面に遭遇しようとは・・。
今年最初の暖かい日に湖で起きた
意外な緊急事態にショック。
湖でアクティビティを楽しむ人の多い、
スイスならではの
出来事と言えるのかもしれません。
看護師さんや、船のクルー達への尊敬。
そしてその後は、
満開の桜並木を見て感動する事になるのですが、
なんだかいろんな気持ちが重なり、
いろんな意味で、
心が大きく揺さぶられた春の1日でした。
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