絵画のように美しいスイスの小さな村が、
予期せぬ観光客の訪問に
困惑しているそうです。
スイス オプヴァルデン州の
ルンゲルン(Lungern)は、
人口約 2000 人の小さな自治体で、
静かでのどかなスイスの小さな村…
だったのですが、
日本でも大人気となった Netflix のドラマ
「愛の不時着」が
2020 年にリリースされて以来一転。
地元住民の日常生活に混乱を与えるほど、
大きく変化しているそうです。
現在は世界各地から、
この小さな村に、
毎日大勢のドラマファンが
訪れています。
(地図の日本語表記は、ルンガーンと表示)
ルンゲルン湖畔は、
「愛の不時着」に登場するシーンが
撮影された場所の一つです。
私が夫 Banana と最後に訪れた際は、
まだコロナ禍が続く 2021 年で、
国外からの旅行者は全くおらず、
ほとんど人も歩いていない、
とても静かな村でした。
ルンゲルン湖の美しさに
目を見張りながら、
村を散策した記憶が蘇ります。
コロナの影響がほぼ無くなり、
世界中からの旅行者が続々と
スイスを訪れる中で、
状況は一転しました。
このようなオーバーツーリズムの
似たようなケースは、
ブリエンツ湖畔に佇む
イゼルトヴァルトでも起こっていて、
ドラマの撮影場所となった桟橋は、
以前は誰もが近くまで行くことが
できましたが、
現在では橋の手前にゲートが設けられ、
桟橋へ行くのため有料化され、
「自撮り料金」として、
5 フランが課されています。
ルンゲルン村のある住民は、
「観光客達はスーツケースを引いてやって来て、
村を歩き回り、写真を撮影し、
数時間滞在して姿を消します。
したがって、
観光業には貢献しておらず、
経済的な利益をほとんどもたらさないのです。」
と語っています。
インターラーケンやブリエンツなど、
付近の観光地では、
旅行者は宿泊をしたり、
レストランを利用したりするので、
利益にも繋がるけれど、
ルンゲルンではその土地にお金も落とさず、
ワイワイと騒ぎ写真だけ撮影して、
その場を去る旅行者達は、
招かれざる客だと言う印象のようです。
地元住民達の不満はそれだけではなく、
プライバシーの侵害についても言及しています。
文化の違いや、
許容される行動の概念の違いからか、
旅行者の中には、
勝手に私有地の庭へ入ったり、
金髪の幼い少女の写真を無断で撮ったり、
触ったりする旅行者までもいるのだそうです。
そして、
それらはアジア人観光客だと伝えられています。
そんなモラルのないことをするはずがない
日本人の私からすると、
「アジア人」と全て一括りにされるのは
とても迷惑な話なのですが、
あまり具体的に示すと、
人種差別につながるということで、
このような表現をしているようです。
自治体の責任者は、
「観光客がこれほど急増するとは
予想していなかった…。」
と、語っています。
自治体では、
旅行者が勝手に私有地に入ったり、
子供達に近づかないようにするため、
地元住民の希望者全員へ、
『近寄らないで』と書かれた
警告の看板を配布しているそうです。
どこかで聞いたような話だと
思いましたが、
同じくオーバーツーリズムに揺れる
京都の祇園界隈を訪れると、
「家の壁によりかからない、
舞妓さんの写真を撮らない」など、
似たような看板が掲げられていたことを
思い出しました。
ドラマの撮影地になれば、
地元が活性化するイメージもありましたが、
スイスの小さな村ではその真逆で、
こんな予期せぬ問題に、
住民達は頭を抱えています。
(本日の画像は、2021年 9月に撮影)
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・
「スイスの街角から」インスタグラムは こちらです★
ブログよりいち早くインスタへアップした画像や動画が、
後日ブログ記事になって登場します。
インスタにだけ投稿する限定画像などもございます。
ご興味がおありの方は、
ブログとご一緒に覧いただけますと嬉しいです。