つい先日の事、

日本からスイスに引っ越して来られたばかりの方とお目にかかる機会があり、

生活の基盤をおかれるスイス・ドイツ語圏での生活に1日も早く慣れるため、

「ドイツ語学校に通おうと思っている・・。」

とお話しをされていたのをうかがい、

数年前まで自分自身も同じように語学学校に通い、

慣れないドイツ語の勉強に日夜励んでいた時の事、そしてその後、

目標であったレベルのドイツ語検定試験を受けた日に

大きなショックに陥ってしまった出来事を思い出しました。


それは6年間(その当時)スイスに住んで、

かなり大きなカルチャーショックでした。


2年前の春、私は初めてドイツ語の検定試験を受検しました。

これはドイツにあるドイツ語の公的機関、

ゲーテ・インスティテュートが主催する世界共通の

オフィシャルなドイツ語検定試験ですが、

スイスにはゲーテ・インスティテュートが無いため、

私はチューリッヒにあるゲーテの提携校で受験。

ドイツ語はおろか、生まれて初めて海外で受験する試験でした。


結果は何とか無事に、

就職活動に必要な目標レベルの試験に合格をする事が出来たのですが、

この大切な試験の場で、私はある大きな失敗をおかしてしまいました!

 

「試験=テスト」 と言えば、日本で試験を受験する場合、

シャープペンシル(鉛筆)で受ける

のが普通で、

その事に全く何の不審を抱く事なく、

“シャープペンシル(鉛筆)と消しゴム” で受験をしたのですが、

これが海外では大きな間違いで、試験は必ず、

“ボールペン”で受けなければならない” 

という規定が
あった事を全く知らずに受験してしまいました。

 

試験の内容は文法的な問題と長文読解から始まり、

それが休憩無しで90分。

その後は15分休憩し、ヒアリング・テストが30分。

と、ここまでは何とかこなし、

毎日自宅で時間通りに模擬試験をこなしていたため、

集中力の持続にも努め、我ながら頑張ったつもりです。


そして次は、再度15分休憩して手紙文の作成。

30分の時間内に出題された手紙への返信文を、

出された課題の “4つのテーマ” を組み込み書くという、

何度練習してみても私にとっては苦手な分野だったのですが、

実はこれが落とし穴で、

手紙文をシャープペンシル(鉛筆)で作成していたところ、

試験の途中で試験管に、


「鉛筆ではなくペンで!」


と言われ、

あわてて上からなぞったのですが時間が間に合わず、

苦手な分野の上、中途半端な状態で終了。


後から調べるとこのドイツ語機関のルールとして、

手紙文だけでなくすべての分野を “ボールペン書き” で解答するのが

ルールだったのです。


試験の前、

ボールペンで記入するようにと試験管が説明が聞こえたのですが、

人間の思い込みとは恐ろしく、

頭から、試験はペンではなく鉛筆で受験するものだと思い込み、

しかも初めて海外で一人ぼっちで受験する試験に舞い上がっていた私は、

きっと表紙の部分の名前と受験場所などを記入する表の部分を

ボールペンで記入するようにと説明しているのだと、

すっかり勘違いをしていました。


確かにその機関のホームページを見ると、

何やら長々とドイツ語で規定が記されており、

手短かに目を通し、読むには読んだのですが、

そんなに隅から隅まで厳密に理解していなかった私の大失敗!!


大切な試験で、何とも日本人には想像もつかないルールに阻まれてしまい、

今更ながらあまりの習慣の違いに唖然です。


私はそれまで知らなかったのですが、

ゲーテの本国のドイツやそしてスイス、

主人の国・英国(イギリス)でも子供の頃からテストは、

ペンで受ける(訂正箇所は斜線を入れて訂正)のが普通 で、

“ボールペン” で受験してきたのだそうです!!

鉛筆だと、改ざんの可能性がありと言う事がそもそもの理由のようですが、

なんだかこの件だけ見ても、やはり日本は平和である気がします。


ここでもう一つ驚いた事は、

試験後にゲーテ・インスティテュートの日本支社にこの件について

メールで問い合わせをしてみたところ日本国内では全くこの逆で、

日本の学校教育の中で試験は鉛筆で受験する事が習慣であるため、

日本でだけ公的なゲーテの検定試験も鉛筆で解答する事が

特例として許可されているのだそうです。


まさかここに来て、大切な試験で文化の違いの壁に突き当たるなんて

想像もしていませんでした。

おそらく採点外になってしまうと予想され、

結果が出るまでの1ヶ月間はへこみ気味だったのですが、

送られてきたのは何ともめでたい合格通知。

スコアを確認すると、作文の部分が他の文法その他の項目に比て

明らかに低かった(合格ライン、ギリギリだった)ため、

かなり減点をされたのだと思います。


とはいえ 合格は合格 で、喜びはひとしおでした。


それにしても 「試験」 をボールペンでなんて、

日本人にはびっくりのルールだとも思い、

久しぶりに日本との違いを感じた、私にとっては大きな出来事でした。